テニスの試合を見ていると、テニス選手はマナーが悪いのでは?ものに当たるしうるさいし偉そう、と思うことはありませんか?
テニスは昔、フランスの貴族が始めた球の打ち合いが原型と言われています。
貴族だから静かに優雅にということはなく、かなり激しい打ち合いだったようです。
その後、イギリスで発展を続け現在のスタイルになって世界中に普及していきました、
そして、ウィンブルドンをはじめとした世界の4大大会が設立され、高額賞金をめぐって激しい戦いが切り広げられています。
試合を見ていると、うまくいかない選手がラケットを破壊したり、審判に暴言を吐いたりする場面が象徴的に報道されることがあり、テニス選手はマナーが悪いというイメージを持たれる方もおられるかもしれません。
実際はどうなのか、調べてみました。
テニス選手マナー悪いのなぜ?
「スポーツ界に対しての侮辱だ」賛否を呼ぶ大坂なおみの“会見拒否”。元豪代表選手は「偽善に満ちている」と厳しく批判 https://t.co/qOnpxDDmv8
— Tennis-Point Japan (@tennispoint_jp) May 28, 2021
スポーツはたとえ運動不足の解消目的であっても負ければ悔しいもので、自分に不利な判定をされるとついつい文句のひとつも言いたくなるもの。
それが、プロとして自分のチームを抱えてやっていて、一つの判定で何千万円もの収入が左右されるのであればなおさら熱くなってしまうのも理解できます。
でもどうでしょう?
テニスの試合では選手が苛ついて、ラケットを放り投げたり床にたたきつけて破壊するシーンが印象的だとは思いませんんか?
それだけ、テニスの選手にはマナーの悪い人が多いのでしょうか?
プロテニス試合中の精神状態とは
元プロテニスプレーヤーの杉山愛さんのオリジナルコラム「藍s EYE]の中で試合中の精神状態についてこう述べています。
悪いときは、何に対してもイライラしてしまいます。
審判のジャッジにもイライラするし、観客が動くのも気になります。
ボールパーソンとのボールの受け渡しのタイミングにさえ苛立つことがあります。
普段は気にならない小さなことが気になってしまうのは、精神的に不安定な状態だからです。
試合中の心理状態は、普通の生活ではありえないくらい揺れ幅が大きいのです。
ただでさえ自分のプレーが思い通りにいかないのに、試合では相手が“嫌なこと”をしてきます。
それらが積もり積もってリミットを超えると、ラケットを投げたり、暴言を吐くような、やってはいけない行為に走ることになります。
ということは、テニスプレーヤーは感情がコントロールできません、と言っているのと同じですね。
テニスに限らず、試合中に極限状態になるのは他のスポーツでもおなじこと。
だからテニスプレーヤーはラケットを投げたり壊したりしてしまう、というのは少し違う様に思います。
テニスを始めた子供のころから、道具を大切にすることは習っているはずです。
これらの行為を見ている子供たちは「なんだ!プロは道具を大事にしてないじゃないか」と思ってしまうかもしれません。
もしかしたら、テニスプレーヤーは感情をコントロールするのが苦手な方が多いのかも?
テニスの試合でマナー違反とされる行動と罰則
テニスのレギュレーションなどの細かいものは別にして、ゲームそのもののルールは比較的シンプルです。
その代わりにマナーについては細かく決められています。
マナー違反の内容と罰則について見ていきましょう。
タイム・バイオレーション
タイム・バイオレーションは時間に関するルールです。
(1)違反の内容
- ウォームアップ時間経過後20秒以内にプレーを開始しない。
- 不注意による20秒ルール違反(ひとつのポイントが終わったら 次のポイントは20秒以内に始めなければならない)
- 不注意による90秒ルール違反第(1ゲームの終了後を除き、チェンジコートがある時に使える時間は90秒です)
(2)上記違反に対するペナルティ
- 1回目:警告
- 2回目以降:違反ごとに1ポイントを失う。
コード・バイオレーション
テニスにはコード・オブ・コンダクト(行動規範)という、選手が守るべきマナーやスポーツマンシップについてのルールが決められています。
それに違反すると、コード・バイオレーション(コード違反)となり罰則の対象となります。
(1)違反の内容
- 理由のないゲーム遅延
- プレー開始の指示から20秒以内にプレーを開始しない。
- 負傷による中断後30秒以内にプレーを再開しない。
- 自然的な体力の消耗により、試合の続行ができない。(理由はあるのですがだめなんですね)
- 声によって淫らな表現をする。
- 試合中許可されていないタイミングでコーチングを受ける。
- 仕草によって淫らな表現をする。
- ボールの乱用(イライラしてボールを投げつけたり、叩きつける行為)
- ラケットまたは用具の乱用(苛ついてラケットを床に叩きつけたり、破壊する行為など)
- 言葉での侮辱(意外と女子選手に多いらしいですね)
- 身体に対する侮辱(チビ・ブス・のっぽ・デブ・肌の色など)
- その他スポーツマンシップに反する行為(相手方のコートへ侵入する行為も含まれます)
(2)上記違反に対するペナルティ
- 1回目:警告
- 2回目:1ポイントを失う
- 3回目:1ゲームを失う
- 4回目:失格
※失格者はそのトーナメントでの賞金を受け取ることができず、ほかの種目にも出場できません。
その他の違反例
違反の内容 | 罰則 |
10分~15分未満の遅刻(10分休憩後も含む) | 待っていた選手がトスに勝ったことになり、以下の選択権を得る。
|
15分以上の遅刻 | 試合の出場権を失う |
選手およびチームは、けがや身体的な理由ではない限り、勝敗に関係なく、可能ならば試合後30分以内に会見を行わなくてはならない。試合後に行う時間は、レフェリーおよび適当な理由がある限り、伸ばすことはできる | 違反した場合は最大で$20,000の罰金(大坂なおみ選手が会見拒否で課された罰金で大坂選手は$15,000でした) |
試合中のトイレットブレイク
規定回数内のトイレ時間は理にかなった時間とされている。 |
規定既定の回数を使い切った後、緊急処置も認められていますがチェンジコート時90秒、セットブレーク時120秒以内となり、違反するとコードバイオレーションが課されます。 |
ものに当たるうるさい偉そうなのは誰?
🎾 #会見拒否 🎾
ナダル、バーティーらが大坂の会見拒否に意見。「気持ちはわかるが…」、「会見も仕事の一部」#テニス #会見拒否 #バーティーhttps://t.co/oabeOquuxk
— スマッシュ編集部 (@smash_monthly) May 29, 2021
プロテニスプレーヤーの中で、ものに当たる・うるさい・偉そう、な人を上げていきましょう。
ラケット破壊ランキング
「ラケット破壊ランキング」を米国テニスメディアが2018年末に発表しました。
破壊ランキング | 氏名 | 出身国 | 世界ランキング |
1位 | ブノワ・ペール | フランス | 男子シングルス52位 |
2位 | カロリーナ・プリスコバ | チェコ | 女子シングルス8位 |
3位 | ソラナ・シルステア | ルーマニア | 女子シングルス84位 |
4位 | バセック・ポスピショル | カナダ | 男子シングルス70位 |
5位 | アレクサンダー・ズベレフ | ドイツ | 男子シングルス4位 |
不名誉なランキングですね。
人として、自分の感情をコントロールできない人という風に見られてしまいます。
うるさい選手ランキング
モデルや女優もこなす美貌でも人気だったマリア・シャラポワ(ロシア)などはショットの度に発する甲高い声が特徴的でしたが、これらは相手選手に対する妨害行為にはならないのでしょうか。
比較的男性選手に比べて、女性選手の方が声を出す割合は多いようです。
一般的にうるさい選手をランキングすると次のようになります。
理由は下の動画でチェックしてくださいネ!
ランキング | 氏名 | 出身国 | 世界ランキング |
1位 | マリア・シャラポワ | ロシア | シングルス1位。ダブルス41位 |
2位 | ノバク・ジョコビッチ | セルビア ベオグラード | シングルス1位、ダブルス114位 |
3位 | ヴィクトリア・アザレンカ | ベラルーシ ミンスク | シングルス1位、ダブルス7位 |
4位 | セリーナ・ウィリアムズ | アメリカ | シングルス・ダブルス共に1位 |
5位 | シモナ・ハレプ | ルーマニア | シングルス1位、ダブルス71位 |
テニスプロは態度がでかい?
2回戦に進出した #カロライン・ウォズニアッキ https://t.co/hr6QdY17dL pic.twitter.com/kmmxoLAsAY
— 橋本大 (@dai__hashimoto) September 21, 2016
プロテニスの中継を見ていると、ボールボーイ&ガールが選手にタオルやボールを渡す場面をよく見ますが、選手ってちょっと偉そうな感じ!?
と思われがちですが、選手が自分でタオルやボールを取りに行ってたら、円滑な試合運びができないため必要な仕事なんです。
それはさておき、ここでは逆にスポーツ記者が選ぶプロテニス選手「いい人ランキング」といきましょう。
ランキング | 氏名 | 出身国 | 理由 |
1位 | ノバク・ジョコビッチ | セルビア | コミカルな性格と面白さ、慈善活動にも熱心でファンサービスも |
2位 | ラファエル・ナダル | スペイン | 人格的に評価され、慈善活動にも熱心、ファンサービスやテニスアカデミーでジュニアの育成も |
3位 | カロライン・ウォズニアッキ | デンマーク | モデルのような出で立ち、笑顔を絶やさず生意気なようで素敵な性格 |
4位 | サビーネ・リシツキ | ドイツ | 感情の高ぶりをコート上で見せながらも愛される選手 |
5位 | アンジェリック・ケリバー | ドイツ | 控えめな性格で上品、笑顔を絶やさずファンサービスも怠らない、素晴らしい人格 |
イリーナ・ベグ叩きつけたラケットが観客席に!
.@irina_begu made waves with a racket that flew into the crowd. #TheBreakTC pic.twitter.com/hsGo6U8HI0
— Tennis Channel (@TennisChannel) May 27, 2022
2022年5月に開催されたテニス四大大会「全仏オープン」で発生した事件です。
現地時間5月26日に行なわれた女子シングルス2回戦。
世界31位のエカテリーナ・アレクサンドロワ(ロシア)と同63位のイリーナ・ベグ(ルーマニア)の試合で、イリーナ・ベグが投げたラケットが客席に飛び込むハプニングがありました。
タイブレークの末第1セットを失ったイリーナ・ベグはどうにか第2セットを取り返し、セットイーブンにした3セット目。
その3ゲーム目の15-0の劣勢の中、ラケットを替えようとベンチに向かい、ベンチに向かって使っていたラケットを投げつけた。
ベンチに当たって大きく跳ねたラケットが客席に飛び込み、座っていた小さい子供の体を直撃し、子供は泣きだしてしまいました。
イリーナ・ベグは警告を受け、試合はそのまま続行され、ベグは勝利をおさめます。
試合後のインタビューでは。
「私のキャリアにおいて、過去にこのようなことはありませんでした。
本当に申し訳なく思っています。もう一度言います。
今回の件は本当に申し訳ありませんでした。
改めて恥ずかしい瞬間だったと思います
こんなこと初めてよ~
ラケットが客席に飛び込むなんて!
今度から気を付けて投げるようにするわ!
と言っているように聞こえてしまうのは私だけ?
テニス選手マナー悪い まとめ
商売道具は大切に:
←設計強度を超えないギリギリの衝撃イメージ
その場の全員がプッツンしている衝撃的なイメージ→#ラケット破壊 pic.twitter.com/itfUFkvMMP— 愛の騎士オレサマ 復活篇 (@Knight_Oresama) May 13, 2021
今回は、テニス選手はマナーが悪そうなイメージがある、ものに当たるしうるさいし偉そう。
と感じている人もおられるようなので、実際どうなのかをテニスのルールや選手の精神状態の観点から考えてみました。
ラケットはスポンサーからタダでもらっているとはいえ、それを作っている人は必ずいるわけで。
その人のことを考えれば、うまくいかないからといってラケットのせいにするのは間違っているし、見苦しいと思います。
競技が単純で、試合中の好不調の波が激しいスポーツなので、感情のコントロールが難しいのかもしれませんね。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
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想像が足りていない。プロのほぼ全ての選手がラケットを破壊する。
なぜか。日程、賞金、時間、すべて。
あなたにはわからないよ。
なぜ、テニスだけが目立つのでしょうか?
プロテニスの環境が悪いのであれば、改善すればよいだけです。